生物多様性・自然資本関連情報開示
(TNFD提言に基づく開示)

TNFD提言への対応

生物多様性の損失は、気候変動と同様に当社グループの事業基盤に重大な脅威をもたらす可能性があります。生物多様性は、食料や水、空気など生活に不可欠な自然資源を支える重要な役割を担っていますが、企業の活動が森林伐採や土地開発を通じて悪影響を及ぼすことがあります。
当社グループは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)*1の理念に賛同し、TNFDフォーラム*2に参加するとともに、自然への依存や影響、そして自然関連のリスクと機会をバリューチェーン全体で詳細に分析することで、環境負荷の低減と自然資本を活用した新たな事業機会の創出を目指してまいります。
さらに、当社グループは「環境方針」のもとで、地域の豊かな自然環境を守り、未来の世代に引き継ぐ責任を果たすべく、自然資本に関するリスクと機会の分析を進めています。これにより、ネイチャーポジティブへの取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に寄与していきます。

  • *1
    企業や金融機関が自然資本および生物多様性の損失に関連するリスクと機会を評価し、開示するための国際的な枠組みを提供するイニシアチブ。
  • *2
    企業や金融機関、学術機関、NGOなどが参加し、自然資本に関わるリスク・機会の評価や情報開示の方法について議論・共有する国際的な組織。

各セクターと自然資本との関係の分析

自然関連のリスクと機会を特定するために、TNFDフレームワークで推奨の「ENCORE」という自然関連依存・影響・リスク分析ツールを活用し、主要な営業エリアである京都府における事業性融資ポートフォリオについて、セクターごとに自然資本への依存と影響を分析しました。

重要セクターの特定

千年の都として知られる京都は、長い歴史と最先端の技術が共鳴し、新たな価値を生み出し続けている地域です。主な産業の一つである観光業は、令和7年に観光入込客数が9,147万人に達し、観光消費額が2兆2,559億円にもなるなど、その経済的インパクトは非常に大きなものとなっています。この観光業を支える宿泊業、飲食業、食品製造、流通、農業といった多様な関連産業は、互いに密接に連携し、エコシステムとして機能しています。
このような地域産業の特性を考慮し、ENCOREを用いた分析を通じて、ポートフォリオにおける主要な11のセクターについて、「依存」と「影響」のスコアを組み合わせることで、重要なセクターを特定しました。
分析の結果、特に依存度と影響度が高いセクターとして、一般消費財・サービス(ホテル・リゾートおよびレストラン等)や生活必需品(食品小売り、食品流通、農産物・サービス等)が挙がりました。今後は、優先して対応が必要なセクターや自然資本の特定に向け、分析の精度を一層向上させてまいります。

  • 出所:京都府「令和7年京都府の観光入込客数及び観光消費額について」
  • 円の大きさが大きいほど、投融資額が大きいことを表しています。

特定したセクターのENCORE分析結果

スクロールできます
  • 色の濃い項目は依存・影響が大きいことを表しています。

特定セクターにおける自然資本への依存とその影響

特定したセクターは、地域の自然資本に大きく依存しており、その依存度は一般消費材・サービスや生活必需品の分野で特に顕著です。京都のホテルやリゾート、レストランなどのサービスは、四季折々の風景や歴史的な街並み、地域に根ざした特色ある食材を活用することで、訪れる人々に独自の価値を提供しています。地元で収穫される京野菜や清らかな地下水を用いた日本酒、抹茶なども、地域の豊かな文化と伝統を体感するための重要な要素です。また、これらの食材の生産には地元の気候や土壌に加えて300以上の河川の水資源が重要な役割を果たしており、持続可能な資源の利用が求められています。
しかし、これらの産業活動は環境への影響を伴う課題も抱えています。たとえば、観光や関連サービスを提供する過程で、多くの食品廃棄物や包装材が発生し、これが適切に処理されないと地域の環境に負担をかける可能性があります。廃棄物の増加は、埋立地の逼迫や環境汚染を引き起こすリスクがあり、リサイクルや廃棄物削減の取り組みが不可欠です。
また、食品流通や小売業では、エネルギー消費の増加による温室効果ガスの排出増加や、水資源の利用増加に対応する必要があり、持続可能な利用と管理が求められています。
こうした課題に対応することで、地域の自然環境や文化的景観を守り、長期的には観光資源や地域の魅力を維持することが不可欠となっており、これらのセクターに対し、環境への影響を最小限に抑えるための持続可能な経営戦略の導入を支援してまいります。

自然資本・生物多様性の保全に向けた取組事例

生物多様性の保全活動に関しては、森林の整備や地域環境保全を目的としたボランティア活動をしています。また、京都銀行がトップスポンサーを務める京都サンガF.C.主催の「八丁浜ビーチクリーン」イベントにも協賛しており、小中学生を対象に、海洋ごみをテーマにした特別講演やビーチ清掃活動を行い、海洋プラスチックなどの海洋ごみ問題に対する意識啓発に努めています。
さらに、京都キャピタルパートナーズが運営するファンドを通じて、生物多様性の保全に取り組むベンチャー企業への投資を行うなど、事業活動を通じた生物多様性の促進にも力を入れています。
これらの取り組みを継続し、さらに発展させることで、ネイチャーポジティブな社会の実現に向けて貢献してまいります。

(c)KYOTO P.S.

サーキュラーエコノミーを基盤とした地域社会と環境への配慮

サーキュラーエコノミーの考え方を基盤に、廃棄物の削減、森林整備、脱プラスチック、地産地消等の推進を通じて、持続可能な社会を目指しています。

社内文書の再利用

廃棄物の削減は、サーキュラーエコノミーにおける重要な要素です。当社グループはペーパレス化を進めているものの、年間約400トンの社内文書が廃棄されている現状があります。そこで、これらの紙廃棄物を機密処理した上でトイレットペーパーへと再生し、京都府・滋賀県の公立小・中・特別支援学校に寄贈しています。この取り組みは2001年から続けており、これまで累計で約650万巻のトイレットペーパーを寄贈しました。これにより、廃棄物を資源として循環させるサーキュラーエコノミーの実践を進めています。

古民家の再生と利活用

地域資源を効率的に活用し、持続可能な社会の実現を目指して、当社グループは古民家の再生と活用を推進しています。これにより、地域のまちづくりを支援するためのファンド設立や、古民家の流通促進に取り組んでいます。「京銀まちづくりファンド有限責任事業組合(京銀まちづくりファンド)」は、古民家や空き店舗、空き公共施設などをリノベーションして、宿泊・商業・交流施設などへ整備する事業を対象に投資し、地域の古民家や空き家が新たな用途で再活用され、地域経済の活性化に寄与しています。